-アンクレッドハム・カンタループ#1-
トニートニー・チョッパー
 ナミは海賊専門の泥棒をしていたと言うがどうやらそれは本当らしい。かくいう俺も大事なもの を彼女に盗まれた。それも出会った瞬間に、だ。俺はその時のことを今でも鮮明に覚えている。あ の時、彼女は俺がまだ面白トナカイということを知らなかったこともあってか、不思議そうに、と 言うか吸い込まれそうなくらいつぶらな瞳で俺を見ていた。そして俺がナミと目が合ったとき、 すでに俺のハートは彼女の物になっちまったってわけだ。ケツに火が付くくらい恥ずかしい話。

 自分で言うのも何だが、当時の俺は気持ち悪いくらいピュアな奴だった。ファーストキスはレモ ンの味を夢見るくらい純粋なボーイだった。だからナミが海賊って知った時は心底驚いた。元々普 通の女子高生ではなさそうな感はあったがさすがに海賊はありえないと思っていたのだ、いくら大 海賊時代と言えども。ショックだったかって?答えはノー、内心嬉しかったね。

 なぜなら俺はワケも分からず海賊というものに強い憧れを持っていたのだ。とにかく俺はドクロ の旗を掲げて海を渡る海賊共をリスペクトしていた。だが当時の俺は海賊への憧れは持っていても、 海賊になりたいとまでは思っていなかった。思えなかった。海では何が起こるか分からない、怖か ったんだ。そこでナミは言う。

 「海賊に興味あるの?」

 この時、俺の中で何かが揺れ動いた。それは単に俺が海賊に興味があるからだなんてシンプルな ものでは無い。もっと奥深く、圧倒的カタルシスのようなものだった。俺自身この瞬間はまだ何 に戸惑っているのか分からなかったが、次のナミの言葉で俺は俺の全てを理解する。

 「…じゃあ、あんたも来る?」

 その時だった、俺の胸中で何かがキュンする音がしたのは。キュンという音が聞こえるくらい見事 なキュンだった。ナミの笑顔を見て俺が感じたこと。それは海賊に興味があるよ俺は等という曖昧な 答えでは無く、まさしくナミに興味があったのだ。

 そしてそのままナミと同じ船に乗った今、俺はこれほどまでにヒトの能力を持って幸せだと感じた ことは無い。毎日ナミと一緒に、同じ言葉、同じ空気、同じ食事で生活できるんだ。もう一つわが ままを言うなら、ナミと同じベッドで寝れれば最高なんだがね。おっと、これは言っちゃマズかったか な。

 今日もよく晴れたいい天気だ。気持ちいい。

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