変なキャンディのレシピと女王の秘密のくつ箱
【7月5日(現在−1−)】
「次の島はどんな冒険が待ってるかなー!ナミちゃん」
突然、ルフィがそんなことを言いだしたので、ナミは飲んでいたコーヒーを吹きそうになる。
ナミちゃん?何たってルフィは急にいつもと違う呼び方をしたのだ。
いや、これは聞き間違いだと無理矢理自分を納得させて、コーヒーをごくんと飲み込み、聞かなかったことにする。
「ナミにゃん、今日もぽかぽかでいい天気だなー」
「完全版クリマタクトの調子はどうだ?ナミリン」
今度はチョッパーとウソップだ。ナミにゃん!?ナミリン!?どうやら、さっきのルフィのも、聞き間違いでは無かったらしい。
「朝食のお味はいかがでしたか、ナミ嬢」
サンジは意外と違和感無いな。と関心している場合ではない。
昨夜まで普通に呼ばれていたのに、どうして今朝から皆しておかしな呼び方をしてくるの?
おまけに、皆なんだかニヤニヤしながらお互いを見て、優越感に浸ってるような表情だ。
さすがにこれは異常だということに気づいたナミは、まだ眠っているゾロを起こして話を聞いてみることにした。
「ちょっと、みんな今朝から変なんだけど、何かあったの!?」
「さァな。おれはさっきまで寝てたんだから、そんな事言われても知るかよ。・・・ナミナミ」
「あんたもか!」
せめてゾロくらいはまともであって欲しかったナミは、ここまでくると呆れるしかなかった。
確かにここ最近、おかしな事が続いていたが、これはちょっとありえない。
心当たりは、無いわけではない。
もしかして・・・
ナミはすぐにロビンの元へ向かった。
【7月1日(過去−1−)】
本来ならこの月のカレンダーをめくる瞬間は、とてもわくわくするものだが、チョッパーはどちらかと言うと焦っていた。
まだ、ナミへの誕生日プレゼントが決まっていなかったのだ。
チョッパーだって、何もしていなかったわけではない。
実を言うと3ヶ月前にそれとなく、ナミに欲しいものは何か聞いてはいた。
その時のナミの返答は"たまには、かっこいいパンツが履きたい"だったので、そのためにコツコツお金を溜めていたものの、とてもじゃないがそんな物を買える金額には達しなかったのだ。
と言うより、カタログやナミの愛読女性ファッション誌を買ったりして悩んでいるうちに、お金は減っていく一方だった。
困り果てたチョッパーは、ロビンに相談してみた。
「ロビン、どうしよう。おれ、大変だ!」
「どうしたの?船医さん。落ち着いて話して」
不安気な顔で話を切り出すチョッパーに、ロビンは快く応じてくれた。
チョッパーは、事のあらましを説明する。
「おれ、どうしたらいいんだ?このままじゃナミの誕生日プレゼント、何も買えないよ」
「ばかね、女の子は品物の価値より、気持ちの方が嬉しいものよ。船医さんなら、何をあげても喜んでくれるはずよ」
それを聞いて、チョッパーは目を輝かせた。
「おお!そうなのか!でも、何をあげればいいか分からないんだ」
「そうね、じゃあ、ラブレターなんてどうかしら。」
「らぶれたあ?」
初めて聞く単語だったが、興味をそそられる響きがあった。
「そう、ラブレター。純粋な想いを綴られたら、航海士さんだってきっと喜んでくれるでしょうね」
「そうか!分かった!おれ、らぶれたあ書くぞ!ロビン、ありがとう」
そう言うとチョッパーは、すぐにてくてくと走り去った。
ラブレターとはどういう物か知らない事に気づいたのは、部屋に戻った後だったが、ここからは自力でやろうと考えたチョッパーは、早速図書館に向かった。
【7月5日(現在−2−)】
「ロビンは、いくらなんでも、まともよねえ?」
いきなり面と向かってナミにそんな事を言われたので、ロビンはきょとんとして答えた。
「どうしたの?航海士さん。私の顔に何かついてるのかしら?」
それを聞いて、とりあえずナミはほっとする。
「良かった、ロビンはいつものロビンみたい。」
「私はいつものままよ。他の誰かに、何かあったのね?」
「誰かっていうか、男共全員変なのよ。」
「それはまた、どうして?」
「どうしてかは分からないけど、今朝から皆、私のことをナミリンとかナミナミとか変な名前で呼ぶのよ。昨日までは普通に呼ばれてたのに」
ロビンは落ち着いていた。それどころか、うなずきながら話を聞くその様子は、何か知ってるようだった。
ある程度、検討のついていたナミは、息を呑んで、直球の質問を投げかけてみる。
「ロビン、本当は知ってるんでしょ?」
「ごめんなさい、航海士さん。察しの通り、私がやったの」
意外なほどあっさり答えられたので、ちょっと拍子抜けした。
「なんだ、そうだったんだ。ってロビン!何でそんな事したのよ!ていうかどうやってやったの?ちゃんと説明してもらうわよ!」
「分かったわ。まずは、航海士さんの誕生日の、ラブレターの話にまでさかのぼるんだけど、航海士さんはどこまで分かってるの?」
そう言われて、ナミは自分の誕生日に起きたラブレター騒動を思い出しながら、今回のあだ名騒動との繋がりを考えた。
【7月3日(過去−2−)】
いよいよナミの誕生日当日。それは同時に、男達がいざナミにラブレターを渡す覚悟を決める日でもあった。
というのは、チョッパーがロビンに相談したあの日、2人はこそこそと話をしていたわけではなかったため、ナミを除いて全員がその会話に聞き耳を立てていたのだ。
ナミへのプレゼントにはラブレターが良いということを知った男衆は、よりによって全員がナミにラブレターを書いて、内心ドキドキしながら今日という日を待っていたのである。
1人目、ルフィ。
ルフィはラブレター自体は知っていたが、手紙というものを書いたことが無ければ、もらった事も無かった。
そのため、ナミのキャミソールを一枚くすねて、そこに下手な字でデカデカと書くという、なんとも豪快なラブレターをナミに渡した。
ナミの服に直接書けば、ナミが着た時に自分も満足感を味わえると感じたのだろう。
わがままで強引なルフィらしいやり方である。しかも内容がまたずるい。
ナミ!おれはよく、海賊王になった時の夢を見る。
もちろん、ナミもおれといっしょに海賊女王になってるんだ。
おれはお前がいないと海賊王になれないし、
お前もおれがいないと海賊女王になれない。
だからナミ、お前はおれの女だ!
なんて一方的な。
そもそも、私の夢は世界地図を書くことだってば!
ナミはすぐにそうツッ込んだが、その前にまず、お気に入りのキャミソールを一枚台無しにされたために、速攻ルフィに鉄拳を浴びせかけたことは言うまでもない。
2人目、ウソップ。
ウソップはまず、天候棒の中を覗いてみるように言った。
ナミは何だと思いながら、言われた通り中を覗くと、封筒が筒状に丸めて入ってあることに気づいた。
「何これ」
そう言ってナミが封筒を取り出す様子を確認すると、ウソップは飛ぶように消えていった。
それより封筒の方が気になるので、そのまま開いてみると、これまたラブレターだ。
ナミ、お前がこれを読んでいるということは、
おれはもう、お前の目の前にはいないかもしれない・・・。
それはそうとナミ、"キャンディボーイ"の話を知っているか?
キャンディボーイは、ある小さな村に住む、
海を眺めるのが好きな少年だった。
彼は、村一番のお嬢様に想いを寄せていることでも有名だったんだ。
そんなある日、キャンディボーイは、
海を旅する別のお嬢様に、恋に落ちてしまう。
それに気づいた彼の友人は、
究極の質問をキャンディボーイに投げかけた。
「お前は、村のお嬢様と海のお嬢様、どっちの方が好きなんだ?」
キャンディボーイは悩んだ。
しばらくじっくり考え、沈黙が続いた後、ようやく答えた。
「そりゃお前、おれは村のお嬢様の方が好きに決まってるじゃねェか!」
ところが、彼の友人はすぐに見破った。
キャンディボーイが本当に好きなのは、海のお嬢様だということに。
なぜならキャンディボーイは、類まれなるうそつきだったからだー!
ちなみに、彼がなぜキャンディボーイなのかと言うと、
狙撃が得意な彼は、特別な日や楽しい日には決まって、
鉛弾の変わりに、キャンディを弾として使うからだそうだ。
追伸.いいかナミ、今度の天候棒は、あんまり3回連続で強く振るんじゃないぞ。
いいな。(振ってもいいけど。)
一度見てみたいものね、キャンディボーイ。
ナミはとぼけてそう言うと、早速天候棒を3回連続で振ってみた。
ポタポタポタポタ!
うすうす感じていた通り、キャンディが大量に天候棒の穴から出てきた。
みかん味にコーラ味、プリン味。色々あってなかなか楽しい光景だ。
ナミはみかん味のキャンディを取ると、袋を開けてぺろっと口の中に放り込んだ。
3人目、ゾロ。
ゾロは早朝から、配達ペリカンはまだかとそわそわしていた。
毎月、3日はナミが愛読している女性ファッション誌『ORANGY』が届く日だ。
ナミが楽しみなのはいつものことだが、今回はなぜかゾロもそれを気にしていた。
というのは、その雑誌の読者投稿コーナーのひとつ『今月のナイスガイ』に、そっこり投稿していたからだ。
そのコーナーは、マリモンと呼ばれる恋の先生への目の保養のために、本来は読者の女の子が彼氏の写真とメッセージを投稿して自慢するというものなのだが、事もあろうに、ゾロは自推でそのコーナーに投稿していたのである。
ラブレター、というと意味が違うかもしれないが、ゾロはそれをナミに早く読んで欲しかったのだ。
ちなみに、ゾロがなぜそんなコーナーを知っていたかというと、チョッパーがナミのプレゼント選びにこっそり買っていた『ORANGEY』を、隠れて読んでいたせいだ。
そこでマリモンの『オススメコスメ』というコーナーで、使っているコスメをナミが投稿しているのを発見し、ゾロもこの日に向けて投稿したというわけだ。
したがって、ゾロだけは、チョッパーとロビンの会話を聞く前から、こういう形でラブレターを送ろうと決めていたことになる。
配達ペリカンが時間通り来て、『ORANGEY』が届き、ナミがそれを読みはじめると、前代未聞のゾロの投稿は、ものの見事に掲載されていた。
マリモン聞いてくれ。
おれは世界一の大剣豪を目指している。
目標は、最強の剣士、鷹の目を越える事だ。
だが、最近は鷹の目以上の敵が現れ、正直脅威を感じている。
それは、理性だ。
Nを見てると、他の事が考えられなくなる。
そんな時は、寝てしまうのが一番だったが、
今では夢の中にまでNが出てきて、おれを惑わせる。
おれはNに変してしまったのか?
N、一度でいい。抱かせてくれ。
(19歳♂、三頭竜)
マリモンのコメント:
いやーんお茶目ぇ〜!三頭竜くんは自推で送ってくれたのねv
年頃の男の子の片思いって、マリモン興奮しちゃう!
Nちゃんは幸せ者ね。
三頭竜くん程のナイスガイなら、NちゃんもきっとOKしてくれるわ。
アタックしちゃえ〜!
イマドキ「恋」を「変」って書いちゃう純な三頭竜くんを応援してるわv
なんでゾロがマリモン知ってるのよ!!
ナミはこれを見た瞬間、心臓が飛び出るほど驚いた。
ゾロにとってこの世で最も無縁であろう雑誌に、どういうわけかゾロの投稿があったのだ。
まるでお子様向けのミュージカルに、ジェイソンが斧を持ってゲスト出演してしまったようである。
すぐにゾロを見ると、さっきまでそわそわしていたのが嘘のように、マストに寄りかかって満足気に眠りこんでいた。
ナミが振り向いた刹那、肩がびくんとなったので、おそらくはたぬき寝入りだろう。
何にせよ、誕生日プレゼントなど考えてなさそうなゾロが、こういう形でラブレターを書いてくれたのはなんだかおかしかったので、ナミはクスクスと笑った。
4人目、サンジ。
遅かれ早かれ絶対くるだろうなと思っていたらやっぱりきた、サンジのラブレター。
今日はナミの料理にだけ銀の蓋がしてあったので、何だろうと思って空けようとすると、慌ててサンジがそれを制止する。段取りがあるらしい。
「待って!ナミさん。その前にこれを」
サンジが渡したのは、赤いハートマークのシールで封をした手紙、誰がどう見てもラブレターだ。
「何?これ」
一応聞いてみた。
「今日のランチのレシピさ。読んでごらん。」
ナミが手紙を開いてみると、それはまさしくラブレターだった。
これが本当にレシピだというなら、今ごろ料理のレシピ本なんて、図鑑くらい分厚くなっているに違いない。
鮮やかなオレンジがシャトー・ディケムのように美しいナミさんへ
これは、運命なのかもしれない。
ナミさんのためにランチ用の卵を混ぜている間、時々そう思う。
僕がコックになったのは、ナミさんに出会うことを見通しての、
運命だったんじゃないかって。
ナミさんは知ってる?
実はコックってのは、愛の魔法使いなんだ。
こんなにも大きなあなたへの愛を、
そのまま料理という形に変身させてプレゼントできるんだからね。
本当ならこの世界を丸ごとあなたに捧げられたらいいけど、
愛ならナミさんのために全て捧げられるよ。
この混ざり合う黄身と白身のように、
真っ白だった僕の心は、君のことでいっぱいさ。
ナミさんは自分をしっかり持ち、我が道を行く。
明るい笑顔で、僕の人生を明るくしてくれる。
ご飯を炒めている間、こんなことばかりを考えてた。
ナミさんは愛を言葉には出さない。
けれど、静寂の中、その瞳に映るものが僕には見える。
いつも違う服を着て、僕の様子をそっとうかがう。
そんなナミさんならではのスタイルがたまらなく可愛いくて、
僕はあなたに惹かれたんだ。
でもナミさん、あんまり僕に熱い視線をおくったら、
このフライパンの上のご飯みたいに、僕も熱くなり過ぎちまうよ。
恋のパワーに限界なんてない。
ナミさんは様々なことを教えてくれる。
ランチの盛り付けをしながら、僕は実感する。
ナミさんは、愛のあり方を教えてくれた。
その美しさを前にしたら、
僕はこの気持ちをさらけ出さずにはいられないんだ。
僕はあなたが欲しくてたまらない。
長すぎる夜だけど、毎晩恋の女神に感謝しているよ。
あなたを愛する力を与えてくれたことに。
僕もなんとか盛り付けしてみたけど、
やっぱりナミさんの美しさには敵わないよ。
ナミさん専属のラブコックより
ここまで書かれると、いっそのこと清々しい気分になってくる。
ある意味、これまでで一番ラブレターらしいラブレターなのかもしれない。
読み終えたので、銀の蓋を開けてもらうと、ナミの好きなとろとろオムライスが現れた。
ほわほわと美味しそうな香りが広がる。盛り付けも芸術的だ。
ただ、先ほどのレシピを読んだ後なので、ちょっと食べにくい気もするナミだった。
5人目、チョッパー。
図書館でラブレターのことを調べていたチョッパーは、まず『ラブレター』というのは、告白の手紙だということを知る。
次にラブレターの書き方を調べると、『恋文のススメ』という丁度いい本を見つけたので、それに習って書くことにした。
その本によると、ラブレターというのは渡すタイミングが重要らしい。
特に相手にとって大事な日に渡すのが一番いいようなので、ロビンの言う通りナミの誕生日に渡すのはまさに最高のタイミングだ。
渡し方は、相手のくつ箱に入れておくのが効果的だと書いてあった。
なんでも、くつ箱の中に手紙という光景は、誰もがラブレターを想像するため、それを読むまで全て相手のペースにしてやれるのが良いらしい。
後はラブレターのパワーに任せておけというわけだ。
直接渡すが一番いいが、相手も動揺するため間が難しく、緊張してボロを出しかねないため上級者向けだと、筆者のタレブラ・ミブイコは述べていた。
早速ラブレターを書いたチョッパーは、いざ渡そうと思った時、重大な事に気がついた。
船にはくつ箱が無かったのだ。
焦ったチョッパーは、すぐにウソップに事情を説明し、ナミのくつ箱作りを手伝ってもらった。
ナミの誕生日の夕方までかかってしまったが、なんとかナミのくつ箱を完成させると、急いで女部屋の前に設置し、中にラブレターを入れておいた。
ナミが風呂に入ろうと着替えを取りに部屋に戻った時、今朝までは無かった不自然なくつ箱に気づいた。
「あれ?なんだろこれ」
よく見ると、小さなロッカーの開き戸に『ナミ』と書いてあるので、自分が開けていいのだろうと思ったナミは、それを開けてみた。
すると中に入っていたのは、チョッパーのラブレター。
「芸が細かいわね。どこで覚えたのかしら」
疑問に思いながら、ナミはチョッパーのラブレターを開いた。
ナミへ
ナミ、おたんじょう日おめでとう!
プレゼント何にしようかまよって、ロビンに相談したら、
ラブレターがいいって言ってたから、ラブレター書くぞ。
でもおれ、ラブレターなんて書いたことなかったから、
図書かんでしらべたんだ。
そしたら、"思いのままに、そのままの気持ちを書けばいい"
ってあったから、思いのままに書いてみたぞ。
トニー・トニー・チョッパーより
確かに思いのままに書いてはいるが、何も告白してないチョッパーのラブレターは、どちらかというとバースデイカードか報告書だった。
封筒の中に、もう一枚素っ気無い三行のメモがあったので、それも読んでみる。
おれ、ナミによろこんでほしいから、がんばってラブレター書いたけど、
あんなのでよろこんでもらえたかな?
ナミのこと大すきだから、またラブレターほしかったらいくらでも書くぞ。
こっちの方がラブレターじゃないの!
ナミは、図書館まで行って調べたらしいチョッパーの奮闘ぶりを想像すると、ちょっと温かい気持ちになった。
【7月5日(現在−3−)】
ナミは誕生日の日に男達からもらったラブレターのことを思い出していた。
チョッパーのところまで思い出したとき、はっとした。
「そうよ、ロビン。あんたでしょ!男達にラブレターを書くよう勧めたのは。チョッパーのラブレターに書いてあったわよ!」
「そう言われれば、そうなるわね。嬉しかったでしょ?ラブレター」
「それは、そうだけど。でも、なんでその事と、今日の私の呼ばれ方と関係あるの?」
「やっぱり、知らない方がいいわ。」
「そうはいかないわよ!私の問題だもん」
「一応、言っておくけど、後で知らない方が良かったって思わないでね?」
「そう言われたら余計気になるじゃない!」
「じゃあ、もう一つのヒント。あの日の晩のことを覚えてる?」
「私の誕生日の晩のこと?」
「そうよ。航海士さんは嬉しそうに皆のラブレターを読み返してた時のこと」
思い出してまた恥ずかしくなった。
そうなのだ。あの日の晩、ナミは皆のラブレターをベッドの上で読み返しているところを、丁度入ってきたロビンに見られ、顔を真っ赤にしてラブレターを隠そうとしたのだった。
【7月3日(過去−3−)】
「そんなに慌てちゃって、何をしてたの?さては、エッチなことね」
ラブレターを布団の中に隠すナミの様子を見たロビンが言った。
「そんなんじゃないわよ!・・・もう!」
そう言うとナミは、しぶしぶ皆のラブレターをロビンに見せた。
「みんな航海士さんのことが大好きなのね。」
「・・・うん!」
自分でそう言っても嫌味を感じないのが、ナミの魅力なのだろうとロビンは思った。
「でも、これだけ一気にラブレターを貰ったら、返事はどうするの?」
「実は、それで悩んでたとこなの」
ここは、ロビンも慎重に答えるところだ。
実のところ、ロビンもナミが大好きなので、ここで、誰が一番好きなのかという危険な質問はできない。
考えた末、奇策を思いついたロビンはこう言った。
「そんな事なら心配いらないわ。その前に、・・・これ、私からのプレゼントよ。誕生日おめでとう!航海士さん」
そう言ってロビンが出したのは、小さな小包。ラブレターでは無さそうだ。
「え!?あ、うん。ありがとう!ロビン。開けていい?」
思わぬロビンのプレゼントに、見事にナミはロビンのペースに持っていかれる。
小包を開けてみると、中に入っていたのは、黒くて小さくてレースのはいったショーツだった。
両手で広げてみて、その透けっぷりにナミは唖然とする。何気に高級ブランド物だ。
「ほら、航海士さん、たまにはかっこいいパンツが欲しいって言ってたみたいだから」
今更、パンツがズボンだということを説明するのは気が引けたナミは、力いっぱいの笑顔でロビンのプレゼントを、「ワーイ」と喜んだ。
もともとロビンは下着を着けない派だったため、その辺のことは気にしていなかったのだろう。
「さっきの話に戻るけど、ラブレターの返事に困ってるんだったら、私に任せてもらえないかしら。」
「任せてって言われても、これは私の問題だし」
「全員傷つけることなく、平等にうまくまとめる方法があるの」
「本当に!?」
「だから、私に任せて」
「・・・うん。わかったわ。ロビンに任せる」
高価なプレゼントをされた後では、どこか断れない雰囲気があるものだ。
それはナミにとっても例外では無く、ロビンの勢いに押され了解した。
この日の晩、なんだかんだで皆から愛されて幸せいっぱいのナミは、ぐっすりと眠りについた。
【7月5日(現在−4−)】
6人目、ロビン。(?)
3日の晩のロビンとの出来事を思い出したナミは、ようやく頭の中で全てが繋がった。
「分かったわ!あの日の晩、ロビンに任せたラブレターの件が、今回の呼び名の件と関係してるってわけね。」
「そうよ。さすがは航海士さん。大正解よ」
ロビンはまだ余裕だった。
まるでバレることも想定していたかのような口ぶりだ。
「やっぱり!いたずらじゃ済まさないわよ!今朝までの間、皆に何をしたの!?」
「ラブレターには、ラブレターで返さなきゃと思ったの」
そう言い出して、ロビンは男衆に渡した"ラブレター"の内容を説明した。
手紙ありがとう!嬉しかったよ!
実はナミも・・・あなたの事が好きなの。
皆の前では恥ずかしいから、あんな態度してるけど、
ホントはいつもあなたのことが気になって仕方がないんだ。
そうだ、こういうのはどう?
2人きりになりたい時は、私のことを『ナミ○○』って読んでv
そしたらナミ、空いてる部屋に先に行ってるから。
2人だけの秘密ねv
『ナミ○○』には、ナミちゃんやナミリンなど、それぞれ別の呼び名を書いていたらしい。
それを聞いてナミは愕然とした。
どおりで、今朝から皆私の名前に変な語尾をつけて呼んでたわけだ。
おまけに皆、返事をもらったのは自分だけだと思っているわけだから、ニヤニヤと優越感に浸っていたのも納得できる。
そして、一気に力が抜けた。
「もう〜!ロビンのばか〜!!」
今更ロビンに当たっても遅かった。
全てを知った今の状況で、男と2人きりになるのは非常にまずい。
したがって、ナミは必然的に、常にロビンと一緒に行動するしかなくなってしまった。
ロビンはにこっと笑って言った。
「航海士さん、大好きよv」
ロビン、計画通り!!!
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あとがき
元々は過去パートのみだったのですが、オチが弱かったので、
現在パートを作ってみたら、なぜか最終的にはデスノート風ニコナミに(汗)
好きなんですよ。でも一応、ナミ総受けSSのつもりです。
上の作品はナミ誕生祭期間中は、DLフリー、掲載自由
ですので、ご自由にお持ち帰りください。
【7月4日(過去−4−)】
この物語には、まだ続きがある。
チョッパーが用意した、ナミのくつ箱。
誕生日の翌日にナミがもう一度中を見てみると、またしてもラブレターが何通か入っていたのだ。
差出人を見ると、どうやらナミのファン達から届いたものらしい。
何にせよ、自分宛の手紙というのは嬉しいものである。
ナミは、わくわくしながら、ラブレターを開いた。
愛するナミさんへ
貴女が居たからジャンプもワンピも読み出した
貴女が居なけりゃジャンプもワンピも読んでません
ジャンプ史上燦然と輝く女神様
どれにしようか何処に行こうか全ては女神様の言う通り
どうか尾田っち担当編集長
彼女の出番をもっともぉっと富士楽器
さすれば売上倍増商売繁盛
サンデーマガジン何するものぞ
びょり拝
そう言ってもらえると嬉しいわ、びょりさん。
編集長だって、私の心意気と活躍を見ればきっと黙っちゃいないはずよ!
でもいくら私がかわいいからって、あんまり変な妄想ばっかしちゃダメよ?
天使のような悪魔のようなあなたへ。
なぜ僕の心はこんなにも貴女でいっぱいなのだろう。
それはきっと貴女が僕に「恋」という名の魔法をかけたせい。
ナミさんの、天使のように優しく、
時に悪魔のように僕を惑わせるトコロに惚れました。
たとえこの世界が滅びようとも、
僕の貴女に対する愛だけは決して滅びません。
もしよければ僕と二人で「幸せ」を探しに出掛けませんか?
貴女とならきっとすぐに見つけられるでしょう。
モカ485より
なんなら、もっと強い魔法にかかってみる?モカ485さん。
危険な冒険は怖いけど、「幸せ」探しの冒険なら私もしてみたいな。
天使にしても悪魔にしても、色んな顔が見せられるようこれからも頑張るわよ!
華やかなフルーツパフェのようなあなたへ。
なぜ夕日は綺麗なのだろう。
それはきっとナミさんの髪の毛と同じ色だから。
ナミさんの全てに惚れました。
たとえ生で会えなくとも、
せめて夢の中で会いたい・・!聞きたい事が山のようにあるのです・・!
あと良ければサインしてください!そして記念に写真を!!
もしよければナミさんの蜜柑と私の家にある蜜柑を交換しませんか!?
そして私の愛犬と一緒に琵琶湖を眺めながら散歩しませんか??
さやより
ありがとう!すごく、さやさんの想いが伝わってきたわ。
さすがに全部は叶えてあげられないかもしれないけど、お家の蜜柑はこっそり交換しておいたわよ。
私の蜜柑だと思って、よーく味わって食べてね!わんちゃんと散歩もしてみたいな。
甘い甘い蜜柑の果実のようなあなたへ。
なぜあなたはこんなにも美しいのだろう。
それはきっと愛のチ・カ・ラvv
ナミさんのカッコ可愛い姿に惚れました。
たとえサンジが私を恨もうとも、
私はあなたをずっと見つめていたい…vv
もしよければ…いや、ずっと私のプリンセスでいて!!
GUCCHIより
いつも熱い視線をおくってくれてるみたいで嬉しいわ、GUCCHIさん。
そういう応援があるからこそ、私は辛い戦闘でも頑張らなくちゃって思えるのよね!
ずっと想ってくれていれば、私は永遠にあなたのプリンセスよ。
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